借り上げ社宅の仕訳
会社が借り上げ社宅を借りて、それを従業員に貸す場合の仕訳についてまとめてみます。
借りるときの仕訳
まずは借りるときに発生する費用はこんな感じでしょうか。
- 敷金(戻ってくる) ・・敷金 または 差入保証金
- 敷金(戻ってこない) ・・長期前払費用(※1)
- 礼金 ・・・・・・・・長期前払費用(※1)
- 保証金 ・・・・・・長期前払費用(※1)
- 家賃 ・・・・・・・・地代家賃(※2)
- 共益費 ・・・・・・・地代家賃(※2)
- 仲介手数料 ・・・・・手数料(※3)
- 鍵交換料金 ・・・・・手数料(※3)
こんな感じでしょうかね。
ほかになにかあれば質問してください。まだコメント欄作ってないですけど(爆)
それでは細かい注意点について、
※1 敷金の戻ってこない部分や礼金の償却について
これらは、税務上は繰延資産となります。
したがって、その取扱いはこちら
No.5460 建物を賃借するための権利金等|法人税|国税庁
基本的に契約期間で償却、契約期間が5年以上なら5年間で償却です。
ちなみに月割りですね。1か月に満たない場合は繰り上げです。
ただーし、繰延資産は20万円未満だと、一括償却できるんですね。
したがって、通常は地代家賃として支払い時の費用にしちゃいます。
利益を出すために費用は少なくしたいよ~、というなら5年間の償却でOKです。
(あくまで税法の話ですよ。監査を受けているような会社は会計士さんと相談してね。)
〔繰延資産の償却費の計算(令第137条関係)〕|通達目次 / 所得税基本通達|国税庁
※2 家賃・共益費の消費税の扱い
これは非課税。
管理費でも警備費でも、居住者が応分に負担させる性格のものは、非課税です。
ただし、事務所として使用する場合、つまり人が住むのではなくビジネス目的であれば課税ですね。
正確に知りたい人は国税庁のホームページを見るのが一番です。
集合住宅の家賃、共益費、管理料等の課税・非課税の判定|消費税目次一覧|国税庁
※3 手数料の消費税の扱い
これは課税。特にコメントもないです。
従業員に貸すときの仕訳
では今度は貸す場合。
これは、入金した分を地代家賃のマイナスで相殺すればいいじゃん、って思いますよね。
まあ、普通はそうなんですが、2点ほど注意点を挙げます。
1つ目は、支払った家賃の50%以上をもらっていますか、ということ。
福利厚生としてタダみたいな安い金額で貸すと、一部が給与として扱われる可能性があります。
いくら分が給与になるかというと、「賃貸料相当額」というのを計算するんですが、
実際には20%くらいもらっておけばセーフだった、って計算になることが多い。
じゃあ、20%もらえばいいじゃん、っていうと、この計算をすること自体が面倒なので、
やっぱり50%以上をもらっておくことをお勧めします。
No.2597 使用人に社宅や寮などを貸したとき|k源泉所得税|国税庁
No.2600 役員に社宅などを貸したとき|源泉所得税|国税庁
2つ目は、消費税の話。
家賃の受け取りは、消費税の課税売上割合の計算上「非課税売上」になります。
それが面倒だから費用のマイナスにしたんだよ、って気持ちも分かりますが、それでも
税金計算上の取り扱いは変わりません。
会計上は費用のマイナスにして消費税の申告で調整してもいいんだけど、
それならはじめから「受取家賃(非課税売上)」としておいたほうが楽ですよ~。
という感じです。何か気になる点があればコメントくださいね。
Uすけ